医療機器メーカーへの転職
医療機器メーカーへの転職を検討している方向けに、現在募集中の医療機器メーカー求人と転職市場の動向、転職時のポイントをお伝えします。
医療機器メーカーの転職市場
安定業界の医療機器は、求人が出やすく転職が実現しやすい
13万人が働く医療機器業界
医療機器業界は、比較的転職のしやすい業界と言われています。
現在、医療機器業界では約13万人の人が働いており、その内訳は製造部門が約4万人、研究開発部門が約2万人、営業部門が約5万人。業界全体を通して人の動きは活発で、転職者の平均転職回数も他業界に比べると高めの傾向があります。もちろん採用も活発で、最も従事者数の多い営業関連職を中心に、経験者はもちろん、業界未経験向けの求人も多く発生しています。
医療機器業界で働く人の数 | |||||
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区分 | 管理部門 | 製造部門 | 研究開発部門 | 営業部門 | 合計 |
従業者数 | 19,637 | 37,015 | 17,056 | 52,403 | 126,111 |
厚生労働省 平成27年度医薬品・医療機器産業実態調査より作成
医療機器は景気に左右されにくい右肩上がりの業界
医療機器業界は、人の命にかかわる業界であることから景気に左右されにくく、世界的に市場が拡大を続けています。その成長率は毎年約8%。日本市場だけで見ても堅調な成長が続いています。国内における医療機器の売上げは、病院の設備投資が増える診療報酬改定の年に伸びる傾向があるため、綺麗な右肩上がりとはいきませんが、毎年の成長率を平均すると、およそ5.1%(2009~2014年の5年間)で推移しています。
現在、国内の市場規模は2兆6,848億円(2015年) 。2015年は、医療機関の設備投資が抑制傾向にあったことと、消費税導入直後のタイミングだったことが手伝って成長率がやや鈍化したものの、あくまで一時的なもの。引き続き2021年には3兆円を越す市場規模になることが見込まれるなど、需要の高い状況が続きます。
近年では、経済産業省の医療機器産業政策がスタート。日本医療研究開発機構(AMED)の設立をはじめ、医療機器開発・製品化を円滑にすべく、規制・制度面からの環境整備が進められています。こうした背景もあって、国内の医療機器メーカーは、世界最先端の医療機器や革新的な製品の開発・普及を加速させるべく、人材採用を積極化させています。
業界の成長に伴い、各メーカーでは積極的な採用が行われています。

特に大手医療機器メーカーは募集が活発
こうした市場の成長を牽引するのが、売上高1000億円以上の超大手メーカーたち。成長業界である医療機器業界では、様々な企業が採用を行っていますが、特に大手メーカーでは求人が発生しやすい状況が続いています。
超大手とも言われるメーカーになると、単体製品から複数の製品を組み合わせたシステムまでニーズに合わせて販売できる、豊富な製品群を強みとしています。このため、チャネルの維持・拡大を求めて、製品のプロモーションを行う営業はもとより、新しい製品の研究・開発を担う部署や、マーケティング、薬事など…幅広い部門で募集が行われています。
このほかにも、官・学と連携して新組織を設立する大手メーカーや、新たにビジネスユニットを立ち上げるメーカーなど、大手メーカーの人員拡充ニーズは事欠きません。福島県や山梨県などの自治体では、医療機器メーカーを対象とした企業招致が行われていますから、今後は新拠点開設に伴い、地方勤務の求人が増えることも予想されます。
転職者はどんな理由で転職しているの?
企業の採用も活発なら、転職者の動きも活発なこの業界。医療機器メーカーから医療機器メーカーへ、業界内で転職する方に多い転職理由は、次の3つです。
- 扱う製品をよりやりがいのあるものに変えたい
- 給与や待遇を改善したい
- 経営が安定した企業へ行きたい
扱う製品をよりやりがいのあるものに変えたい
より高いやりがいを求めて、患者の生命により直結する機器を扱える職場へ転職する、というのはポピュラーな選択肢のひとつです。
給与や待遇を改善したい
給与はもちろん、勤務地や残業時間・休日数、さらには立ち会いの有無や休日呼び出しの頻度など…待遇の改善を目指して転職される方も多く見受けられます。
経営が安定した企業へ行きたい
買収や倒産など、会社の将来性に不安を感じたときも転職のタイミングです。厚生労働省の医薬品・医療機器産業実態調査を参照すると、国内の医療機器メーカーは平成18年の650社からいちど523社にまで減少し、再び平成27年に600社台に戻るなど、増減を繰り返しています。とはいえ、医療機器業界は全般的に景気に左右されにくい業界。経営不安を感じずに済む職場を見つけることは決して難しくありません。
他にも、会社の方針転換や人間関係の悪化などが、よく見かけられる転職理由です。
医療機器メーカーへの転職はここがポイント
働きながら転職活動する
どのような理由で動く場合も、衝動的に辞めるのはオススメできません。無職無給の状態は時間が作りやすい反面、早く次が決まって欲しい焦りから、妥協や判断ミスが起こりがち。いざ入社してみると「転職前の方が良かった」という事態に陥ることも。
理想は、「現職に留まりながら合間の時間で転職活動を進め、内定が出てから退職する」こと。経済的な不安を感じずに済むだけでなく、現職との比較もしやすいため、じっくり冷静な目で転職先を見極めることができます。転職エージェントを利用すれば、応募書類の作成や応募先とのやりとりといった転職時の負担を軽減できるだけでなく、面接を平日の夜に行えるように調整したり、もしくは電話やスカイプを用いての面接に変更したりなど、自分の都合に合わせてスケジュールを組む交渉を行ってくれます。まずは現在の職場に踏みとどまりながら、じっくり次の二点について検討してみましょう。
- 転職によって何を叶えたいのか、希望に優先順位を付ける
- 現実的にそれらが叶えられる職場が見つかりそうかを判断する
外資系企業か日系企業かは慎重に決断する
扱う製品や待遇、経営の安定感など…希望を元に企業選びを行う際、避けて通れないのは「外資系に行くか、それとも日系に行くか」という判断。同じ医療機器メーカーといっても、外資系メーカーと日系メーカーでは、社風・雰囲気はもちろん、待遇や、社員に求められるレベルも大きく異なります。
高給・高ノルマの外資系と、そこまでは求められない日系企業
扱う製品領域が同じ場合、一般的に、日系企業よりも外資系企業の方が給与水準は高めの傾向にあります。このため、給与アップを狙うなら、外資系企業で転職先を探すのが近道。
但し、これまで日系企業でしか勤めていなかった人にとって、外資系企業は別世界。待遇が良いぶん、評価はシビアです。例えば営業職なら、ノルマは高めに設定されており、営業スタイルも日系とは異なります。成果に応じて給与額も大きく変動し、社風もドライな面が目立つなど、実力主義の環境で高給与を目指してバリバリ働きたい人向きといえるでしょう。
日系企業は、外資系企業ほど高給与を見込めない代わり、そこまで高いノルマを求められることはありません。数字に追われる慌ただしい日々よりも、コツコツ目の前の仕事に向き合いたいという人に向いていると言えます。
外資が強い治療系、日系が強い診断系
国内市場の中でも外資系メーカーの存在感が大きいのは、市場規模が大きく、今後成長が見込まれている治療系医療機器(カテーテル、人工呼吸器など)。国内市場のおよそ53%を占めるこの領域では、処置用機器をのぞくほとんどの機器で、輸入品がシェア6~7割を占めています。
一方、日系企業が強みを持つのは、2番目に国内市場が大きい診断系機器(内視鏡やCT、MRIなど)。市場規模自体は26%ですが、オリンパスや東芝メディカルシステムズ(現キヤノン子会社)といった世界的にも競争力を持つ超大手メーカーが多く、国内のみならずグローバルへの輸出量も増えています。

輸入品のシェア | ||
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治療用医療機器 | 生体機能補助・代行機器 | 61.1% |
処置用機器 | 43.7% | |
治療用または手術用機器 | 67.7% | |
鋼製器具 | 75.6% | |
診断系医療機器 | 画像診断システム | 44.7% |
生体現象計測・監視システム | 37.0% | |
医用検体検査機器 | 34.8% | |
画像診断用X線関連装置及び用具 | 27.6% | |
施設用機器 | 44.5% |
治療系は処置用機器以外で輸入品に押されているが、診断系は日系企業が強い。
国内には圧倒的に日系企業が多い
外資か日系かを検討する上でもうひとつ欠かせないのが、選択肢となる企業の数。2015年現在、国内市場における日系企業の数は、494社。対する外資系企業は108社(いずれも平成27年度時点)。国内売上の7割を占めるのは日系企業ですから多いのは当然ですが、企業数で見ると実に全体の8割強が日系企業ということになります。

これは、従業員数数百名規模の中堅企業が多く存在する外資系に比べ、日系企業は小さな企業が数多く乱立しているため。
従業員数11~50名規模の企業が全体のおよそ3割にのぼるなど、実に全体の半数近くを100名以下の中小メーカーが占めています。
あくまで日本での営業窓口という側面の強い外資系企業に比べ、日系企業は経営陣と近い位置で働くことのできる少数精鋭の企業の求人と出会いやすい、という特徴があります。
大手メーカー以外にも製品力のある中小メーカーが隠れている
安定性を求めて転職を検討する際に注意したいのは、企業の将来性は売上高や従業員数といった企業規模だけでなく、製品力にも目を向ける必要がある、という点です。

野村総合研究所のレポート「業界構造から見た医療機器 ビジネスの経営課題と対応のあり方」によると、売上高300億円未満の中小メーカー群が1000億円以上3000億円未満の大手メーカー群と同程度の営業利益率に達していることがわかります。
売上高300億円未満の企業群の多くを占めるのは、大手メーカーのような製品力・販売力を持たないかわり、競合と明確に差別化できる独自製品を有する医療機器メーカーたち。
他にないニッチな製品だからこそ、大手から販売提携の申し出があったり、クライアントとの関係がより強固になるなど、ビジネスチャンスに恵まれた企業が多く存在しています(例えば脳動脈瘤手術用クリップのミズホ、採血管移載装置のライオンパワー、人工血管を開発する福井経編興業など)。従業員数が10名以下にもかかわらず、資本金が1億円を超えるような企業も存在するなど、企業力が規模に必ずしも比例しないのは、命に直結する分野で技術力でしのぎを削る医療機器メーカーならではといえるでしょう。
大手メーカーは求人も多いですが、採用ハードルが高く、ライバルも多いもの。将来性のあるメーカーは、なにもチャネルメジャーだけではありません。規模感よりも企業の製品力に着目し、独自技術を持つ企業を探すことで、転職活動の可能性はグンと広がります。
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求人がない医療機器メーカーへ転職する方法

求人を検索しても出てこない…。そんな企業でも、募集が行われている可能性があります。
開発競争の激しい医療機器業界では、公に募集を行うことで他社に企業戦略を把握されてしまうリスクがあります。
このため、医療機器メーカーの求人の多くは、求人サイトや採用ページ等のネット上に公開されない“非公開求人”として、転職エージェントを通して秘密裏に採用が進められています。
自分の求めている求人が見つからない場合は、あきらめずに転職エージェントの転職サポートを利用してみましょう。医療機器転職BiZは、超大手メーカーからニッチ企業まで多くの企業から非公開求人をお預かりしています。
さいごに
医療機器業界は、平均転職回数が多い業界です。企業側もこうした実情は把握しているため、外資系の医療機器メーカーを中心に、転職回数の多さはそこまで気にされません。
ですが一部の内資系企業や、外資系企業でも管理職クラスの募集になると、転職回数の多さが不利な結果に繋がることも。自社にない製品を扱いたい場合など、転職しなければ実現できないキャリアアップも多い業界ですが、転職癖がつくことだけは注意しましょう。後々、重要な場面で転職できない事態を招かないためにも、「本当に必要な転職か」「本当にこの企業で良いのか」をしっかりと判断したうえで行動することが大切です。
とは
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